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県民健康調査検討委員会を検討する会ー第8回ー 
2021年5月28日開催
討論内容、新たな問題点をまとめ報告いたします。

 「第8回検討委員会を検討する会」では、環境省対話フォーラムから始まった「風評加害」という言葉の暴力に関する考察と、その言葉が同時多発的に使われていること、検討委員会を縦方向に見ることによって大きな流れが見えてくること、一見何も決まっていないような学校検査見直し議論の中で既に一部縮小の手が打たれてしまったこと、そして、最後の星座長の意味深な言葉を取り上げて議論を進めていきます。


 まず、おしどりマコさんからの報告ですが、「風評加害」という言葉は5月23日に行われた環境省の除去土壌(除染土)再生利用に関する対話フォーラムで、開沼博氏が使った言葉です。この言葉をネット検索すると、以前にも何度か使われてきた言葉であるということがわかります。そもそも、風評被害というものは何も問題のないところに降って湧いたような風評がもたらされ、結果として何らかの被害を被るものです。除去土壌にはALPS処理水と同じく、放射性物質が本来の基準以上に含まれているわけであり、経産省主催の『第1回多核種除去設備等処理水の取扱いに係る「関係者のご意見を伺う場」』で福島県旅館ホテル生活衛生同業組合 理事長 小井戸氏が訴えたように、「新たに処理水を放出することによりもたらされる損失は、風評被害ではなく、故意による加害であると我々は認識する」と考えるのが正当だと思われます。しかし、開沼博氏は本来の汚染を問題とはせずに、「風評加害」という言葉を持ち出し、住民同士の感情的な問題に矮小化しようとしています。そして、対話フォーラムの中で環境相である小泉進次郎氏もその言葉を数回使いました。さらに、5月28日の「衆議院環境委員会」では、細野豪志氏と小泉進次郎氏のやり取りの中で、お互いに「風評加害」という言葉を出し合いました。短い期間に「風評加害」という新しい言葉が何度も出てくると言う事は、その言葉を一般化しようとする何らかのキャンペーンが行われていると考えても不思議ではありません。長野で開示請求を行っている「たあくらたぁ」の野池元基さんからの情報によると、環境省・復興庁から多額の予算を用いて電通に委託した事業が複数あり、その事業の中に開沼博氏の名前も多数出てきている事実も伝えられています。開沼氏だけではなく、原発事故の情報を追いかけている方にはお馴染みの、高村昇氏・越智小枝氏・早野龍五氏らの名前も出てきます。今回の「風評加害」と言う言葉がもたらす問題点は、原発事故の被害者を加害者に仕立て上げた「群馬訴訟」の国側の意見陳述にも似たものを感じます。大きな問題として、今後追いかけて問題意識を共有して行かなければならないと思います。


 さて、ここから本題の「県民健康調査検討委員会を検討する会」の議論を進めていきます。私たち「はっぴーあいらんどネットワーク」のメンバーと、元県民健康調査検討委員会委員の成井香苗氏は2020.12.26に学校検査継続の要望書を提出してきました。その時に県民健康調査課の菅野課長に学校現場の聞き取り調査の理由を確認したところ、「新しく検討委員に選ばれた方が学校での甲状腺検査が以前の集団予防接種のような強制性のあるものと誤解しているので、現状を踏まえて議論するための実態把握する調査である。」と回答されました。しかし、実際に誤解されている新しい委員とは誰なのか、具体的な話はありませんでした。
 今回の「検討する会」では、甲状腺検査の学校検査見直し論が検討委員会の議題に上がっている中で、「学校現場の聞き取り調査」「当事者・保護者からの聞き取り調査」などの実態調査はどのような経緯で行われてきたのか、いくつかの検討委員会を遡りながら整理して行きました。その結果解ったことは、どちらの聞き取り調査も星座長からの提案がスタートとなっているということです。そして、その手法に関しては多数の委員から透明性の確保と複数回の聞き取り調査の必要性が指摘されたのですが、最終的には「みなさん座長預かりはお嫌いでしょうが、任せていただけないと先には進めないので、、、」という流れで、座長・事務局の判断で進められていきました。一見すると、星座長の独断で進められている感じですが、環境省の意向を星座長が実現しているというような部分も垣間見れます。


 このような議事運営は甲状腺検査のみに限らず、妊産婦調査に関しても同様に星座・事務局主導で進められています。今回は、産婦人科医の室月委員の主張を含め、会議映像を確認しながらみなさんと共有して行きます。
 縦断的な会議運営の流れと現在の問題点を指摘した上で、第41回県民健康調査検討委員会の中の議論を見ていくと、「学校現場の聞き取り調査」では検査同意書の催促が学校現場で行われている実態が判明したため、5巡目の検査ではすでに学校での同意書回収は行わないという改善?が行われたとのこと。しかし、その改善?に関しては、5巡目検査の途中からの変更ということであるにもかかわらず、県民に対して十分な説明がなされた形跡はありません。また、今回の検討委員会の中で運用上学校での同意書回収は行っていないという報告がされただけで、検討委員会での議論もないまま変更されています。その経緯についても、環境省の田原氏が委員の発言として確認した結果、上記の報告がなされたという流れでした。しかし、5.28に国会で行われた「衆議院環境委員会」の中で、細野豪志議員と小泉進次郎環境省とのやり取りの中では、小泉環境相がリーダーシップを発揮して進めたと言っています。ここでも、環境省の意向が働いていたことがわかります。


 そもそも、設置要件には「専門的見地から広く助言等を得るため」設置する委員会であると記載されています。環境省の役人がこの中に委員として入り意見を言うのは、この要綱から考えてもとてもおかしいことですし、元々は「オブザーバー」として委員会に参加していましたが、2012.9.11第8回検討委員会から正式な委員として参加するようになっています。この時の自己紹介では、「環境基本法という法律の中で放射線に関するものは除くとなっていたが、今回の法改正によってそれも担当することになった。それに併せて、環境省設置法も変わり役割の見直しが行われたことで、健康担当参事官室の発足が見込まれている。その中には、一般住民の放射線と健康に関わる諸問題、調査、研究、コミュニケーションなどが含まれるので、県民健康調査もその枠組みに入ることになる。そのため、政府を代表して県民健康管理調査にも関与させていただくことになった。」と述べられています。しかし、これは先ほどの設置要綱とは全く関係のない話です。本来ならば、この時点で私たちが異論を唱えるべきだったのかもしれません。予算の面から考えても、県民健康調査は「県民健康調査基金」として既に県に委託されている予算があるので、国から要望・指示ができるような問題ではないはずで、地方自治の観点から見ても問題だと思います。


 第41回検討委員会の議論では最終的に学校検査をどうするのか、明らかな方向性は出されませんでした。しかし、今までの流れで皆さんお分かりのとおり、既に学校検査は一部縮小されてしまっています。それは、学校での同意書回収を行わなくなったことによって、同意書を出し忘れてしまっていた方々は検査を行わないという形で既に運営されているということです。第40回の時点では事務局と福島県立医大との間で検討するという話で終わっていたのですが、その内容を第41回で検討することも・対外的に大きな発信をすることもなく、5巡目の検査の途中で運営方法がいつの間にか変更されているのです。動画を観ていただければお分かりと思いますが、これは学校検査に対する「アリの1穴」というにはとても大きな変更です。大問題であると認識すべきです。
 そして、最後に星座長が言った言葉、これは動画の中でご覧ください。

県民健康調査検討委員会を「検討」する会 -第8回-

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